ACROBiosystems社 創薬研究試薬
ACROBiosystems社は、創薬研究関連のタンパク質および抗体の製造やサービスを行う米国のメーカーです。哺乳動物細胞をベースにしたタンパク質の産生をコアの技術としています。特に、高品質のリコンビナントタンパク質を中心に創薬研究に有用な製品が充実しています。
主な製品ラインアップ
ACROBiosystems社は表のとおり、創薬研究に有用なさまざまな製品を販売しています。ここで紹介していない製品の詳細については、ACROBiosystems社Web site(http://www.acrobiosystems.com/)をご参照ください。
製品分野 | 概要 |
---|---|
免疫チェックポイントタンパク質 | 約100種類の免疫チェックポイントに関連するリコンビナントタンパク質 |
インヒビタースクリーニングキット | PD-1経路の阻害剤のスクリーニングをELISAによりアッセイするために必要な試薬から構成 |
Fc受容体タンパク質 | 抗体医薬品の開発に有用なさまざまなFc受容体リコンビナントタンパク質 |
バイオマーカーおよびCD抗原 | がんや循環器疾患に関連するタンパク質やCD抗原を中心としたさまざまな高品質のリコンビナントタンパク質 |
ビオチン標識タンパク質 | 循環器疾患、がんや免疫などに関連するリコンビナントタンパク質のビオチン標識体 |
抗体 | 免疫チェックポイントに関連する抗体やバイオマーカー関連の抗体や中和抗体を販売 |
Protein A、G、L | 抗体精製用のレジン |
Active Maxサイトカイン | HEK293細胞により発現させたXeno-Free、エンドトキシンフリー、タグフリーのリコンビナントサイトカイン |
サイトカインと増殖因子 |
大腸菌またはHEK293細胞により発現させたリコンビナントサイトカイン *Xeno-Freeは保証していません。 |
ウイルスタンパク質 | HIV-1 GP120、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンなどのタンパク質 |
同位体標識タンパク質 | 13C、15Nなどの同位体により標識したバイオマーカータンパク質 |
Mabアイソタイピングキット | マウスおよびラットモノクローナル抗体のアイソタイプを迅速に決定できるキット |
がん細胞は強力な免疫監視機構から逃れることができます。これは、がん細胞が一般的に自己免疫反応から保護する免疫チェックポイントのプロセスを複数の阻害経路を活性化することによりハイジャックするためです。ACROBiosystems社では、さまざまな免疫チェックポイント関連タンパク質を用意しています。
特長
- 滅菌、エンドトキシン試験済み
- 約100種類ラインアップ(ビオチン化、Fcタグなども用意)
主要製品
Inhibitory | Stimulatory |
---|---|
CTLA4 : CD80 & 86 | CD28 : CD80 & CD86 |
PD-1 : PD-L1 & PD-L2 | OX40L : OX40 |
HVEM : BTLA | 4-1BBL : 4-1BB |
ICOSL : ICOS | CD40 : CD40L |
GAL9 : TIM3 | GITR : GITRL |
LAG3 : MHC2 | CD226 : CD155 |
VISTA | - |
品質試験
生物活性については、SPRやFunctional ELISAなどのアッセイ方法により評価しています(試験未実施の製品あり)。純度については、全てのタンパク質をSDS-PAGEにより分析しています。また、一部の製品はHPLCにおいても分析しています。詳細はACROBiosystems社Web siteの製品データシートをご参照ください。
■生物活性(例ヒトPD-L1)
上図は、リコンビナントヒトPD-L1/CD274, C-Hisタンパク質(#PD1-H5229)のELISAによる分析結果である。アッセイは、5μg/ml(100μl/ウェル)の濃度で固定されたリコンビナントヒトPD-L1/CD274のビオチン標識ヒトPD-1タンパク質, C-Fc, His(#PD1-H82F2)に対する親和性により評価した。PD-L1のEC50値は通常0.16-2.4μg/mlを示し、上述のロットの製品も範囲内に収束している。
■純度(例ヒトPD-L1)
上のデータでは、リコンビナントヒトPD-L1, C-Hisタンパク質(#PD1-H5229)をDTTの存在下、SDS-PAGEとSEC-HPLCで分析した結果が示されている。この場合、純度は98%以上を示した。
製品リスト(最小容量のみ掲載)
*メーカー製品番号:CDL-H5140の発現系はE.coliです。それ以外の上記の製品の発現系はHEK293です。
本製品のキット内容は、新しいPD-1経路の阻害剤のスクリーニングをELISAによりアッセイするために必要な試薬から構成されています。
特長
- PD-1経路阻害剤のELISAによるスクリーニングに必要な試薬をセット化
内容
■キット内容
内容 | 96回用 | 480回用 |
---|---|---|
Human PD-L1 |
25 μg |
125 μg |
Human PD-1 Biotin |
5 μg |
25 μg |
Streptavidin-HRP |
5 μg |
25 μg |
Anti-PD-1 Neutralizing Antibody |
20 μg |
100 μg |
使用方法
- ヒトPD-L1をプレートにコートします。
- プレートに試験する分子を添加します。
- ヒトPD-1ビオチンをプレートに添加します。
- Streptavidin-HRPを添加し、TMBなどのHRP発色基質を反応させた後、OD値を測定し評価します。
使用結果
■ビオチン化ヒトPD-1の固定化ヒトPD-L1への結合
Streptavidin-HRPを用いて検出した結果、2μg/ml(100μl/ウェル)の濃度で固定されたヒトPD-L1は、0.038-0.6μg/mlのリニアレンジでビオチン標識PD-1と結合している。
■中和抗体を用いたPD-1-PD-L1の結合阻害
10μg/ml~0.078μg/ml(66.667 nM~0.521 nM)に段階希釈した抗PD-1中和抗体を阻害剤として使用し、評価を行った。
製品リスト(最小容量のみ掲載)
特長
- 滅菌、エンドトキシン試験済み
- ビオチン化タンパク質も用意
概要
抗体医薬品の効果は、Fabフラグメントと抗原の結合活性だけでなく、FcフラグメントとFc受容体の相互作用にも依存しています。Fc受容体(FCGRT&B2M)とFcフラグメントの結合親和性は、抗体の半減期に影響し、FcフラグメントとFCGRIIIA(CD16a)との結合親和性は、抗体依存性細胞傷害の誘導に影響します。このようにFc受容体に対する結合親和性をスクリーニングすることは、抗体医薬品の開発において重要です。
品質試験
生物活性については、SPRやFunctional ELISAなどのアッセイ方法により評価しています(試験未実施の製品あり)。純度については、全てのタンパク質をSDS-PAGEにより分析しています。詳細はACROBiosystems社Web siteの製品データシートをご参照ください。
■生物活性(例ヒトFcRn)
SPRアッセイ(Biacore 2000)で示されているように、固定化されたヒトFcRn(#FCM-H5286)は、1μMの親和定数でヒトIgG1と結合している。
データ提供:Biaffin GmbH & Co KG, Germany
5μg/ml の濃度でウェルに固定化されたハーセプチン(ヒトIgG1)は、0.2-5μg/ml のリニアレンジでヒトFcRn(#FCM-H5286)と結合している。
■ 純度(例ヒトFcRn)
例えば左のデータは、ヒトFcRn(#FCM-H5286)をDTT
の存在下SDS-PAGE で分析した結果が示されている。
製品リスト(最小容量のみ掲載)
特長
- 滅菌、エンドトキシン試験済み
- 豊富な製品ラインアップ(ビオチン化、Fcタグなども用意)
品質試験
生物活性については試験実施と未実施の製品があります。純度についてはSDS-PAGEにより分析しています。詳細はACROBiosystems社Web siteの製品データシートをご参照ください。
製品リスト(一部掲載)
特長
- 滅菌、エンドトキシン試験済み
品質試験
生物活性については試験実施と未実施の製品があります。純度についてはSDS-PAGEにより
分析しています。詳細はACROBiosystems社Web siteの製品データシートをご参照ください。
製品リスト(一部掲載)
使用例
■ 抗PD-L1(CD274) 中和抗体によるPD-1-PD-L1 の阻害
抗PD-L1(CD274)中和抗体(#PDL-NA002)により、PD-1-PD-L1の阻害を行った。阻害はACROBiosystems社のPD-1[Biotin]:PD-L1 Inhibitor Screening ELISA Assay Pairを用いて測定した。
ビオチン化標識ヒトPD-1タンパク質の存在下、20μg/mlから0.027μg/mlに希釈した抗PD-L1(CD274)中和抗体をヒトPD-L1のコートされたプレートに添加した。