分子量制御が容易な重合剤
RAFT剤
RAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer)重合は、リビング重合の一種であり1998年CSIRO(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)にて発見された重合反応です。この重合反応は、狭い分子量分布で重合可能なことから注目されています。Strem社では、さまざまなモノマーに対応するRAFT剤を用意しています。
特長
- 狭い分子量分布で重合可能
- さまざまなモノマーに対応するRAFT剤をご用意
- 複合構造(ブロック、グラフト、星型など)を有する共重合体の合成も可能
RAFT重合のメカニズム
RAFT重合では、一般的なラジカル重合の素反応(開始・成長・停止)に加えて下記のような速いRAFT平衡が起こります。重合生成物中に、チオカルボニルチオ基が生成されるために、副反応である不可逆的連鎖移動や停止反応が起こりにくく、狭い分子量範囲で重合可能です。このことにより、等量数など反応条件を調整することにより分子量制御した重合が可能となります。
モノマー適合表
一般的なモノマーに対するRAFT剤との適合表です。スチレンやメタクリラートは各種RAFT剤に適しています。一方、ビニルエステルやビニルアミドは、適合するRAFT剤が限定されます。Strem社では各RAFT剤500mgから構成されるキット(#96-4700)も提供しています。
RAFT剤メーカー製品番号 | 16-0423 | 16-0425 | 16-0430 | 16-0422 | 16-0610 | 16-0415 | 16-0460 | 16-0617 | |
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Monomer | styrenes | ― | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
acrylates | ― | ◎ | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
acrylamides | ― | ◎ | ― | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
methacrylates | ― | ― | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ― | |
methacrylamides | ― | ― | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ― | |
vinyl esteres | ◎ | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | |
vinyl amides | ◎ | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
〇:一定の分子量制御(不要な停止反応は防ぎ、分子量分散RD<1.3以下で制御可能。)
△:制限した分子量制御(分子量分散RD<1.5以下での制御。もしくは不要な停止反応が起こる。)
―:分子量制御できない。もしくは不要な停止反応が容易に発生する。
価格表
※記載の内容は、'14年5月現在の情報に基づいております。