Atlas Antibodies社 抗体
Atlas Antibodies社は、全てのヒトタンパク質に対する高品質な抗体の提供を目指して設立されたスウェーデンの抗体メーカーです。2014年1月現在、17,000種類以上の抗体をラインナップしており、ヒトプロテオームの75%以上をカバーしています。抗体の開発およびバリデーションは、スウェーデンのアカデミックプロジェクトであるThe Human Protein Atlas(HPA)と連携して進められ、それぞれの抗体は700以上の免疫組織化学染色、蛍光免疫染色およびウェスタンブロッティング法によるデータでサポートされています。また、げっ歯類でのバリデーションも進められており、マウス・ラットへの適用も拡大中です。
特長
- 17,000種類以上のラインナップ
- 2015年の末までに、すべてのヒトタンパク質に対する抗体を網羅
- 1つの抗体に合計700以上のIHC, IF, WBバリデーションデータ
- 正常およびがん組織での豊富な染色データ
- マウス、ラットサンプルへの交差性データを追加(一部の抗体のみ)
The Human Protein Atlas(HPA)プロジェクト
The Human Protein Atlas(HPA)プロジェクトは、2003年にスウェーデンで設立されたアカデミックプロジェクトであり、抗体を使ってシステマティックにヒトプロテオーム解析を行っています。HPAプロジェクトの目的は、2015年にヒトにおけるタンパク質の発現マップを構築し、2020年までに構築したマップを精選・完全化することです。この目的を達成するため、全てのヒトタンパク質に対する高品質な抗体が開発されています。これらHPAプロジェクトで開発された抗体は、Atlas Antibodies社から「Triple A Polyclonals(Atlas Antibodies Advanced Polyclonals)」のブランドとして購入することができます。
HPAプロジェクトとAtlas Antibodies社との関係
HPAプロジェクト | Atlas Antibodies社 |
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抗体開発/製造販売 | |
ヒトタンパク質に対する |
HPAプロジェクトで開発された抗体を |
マウスモノクローナル抗体の開発・販売 |
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WEB抗体検索 | |
HPAオンラインデータベース http://www.proteinatlas.org |
Atlas Antibodies社オンラインカタログ https://atlasantibodies.com |
バリデーションデータ | |
1つの抗体につき 700以上のIHC, IF, WBデータを公開 |
HPAプロジェクトのデータから一部 (詳細はHPAプロジェクトを参照) |
交差性確認 | |
ヒト | Triple A Polyclonalsの適用拡大 (ヒトに加えて マウス・ラット で確認中) |
相互リンク | |
HPAプロジェクト開発抗体とAtlas Antibodies社製品は、個々の抗体単位で相互リンク |
The Human Protein Atlas(HPA)オンラインデータベース
HPAプロジェクトで取得した全てのタンパク質発現データはオンラインデータベースにて閲覧することができ、HPA ver.12データベースでは、21,984種類の抗体による16,621種類の遺伝子発現データが公開されています。
■ TISSUE ATLAS
各々の抗体について48つの異なるヒト正常組織における免疫組織化学染色(IHC)データがまとめられています。すべての染色画像には、病理学的解析によるアノテーション情報とトランスクリプトーム解析によるRNA発現解析情報が付与されています。下図は、抗FUS抗体(Cat. #HPA008784)のデータです。
■ SUBCELL ATLAS
多くの抗体には免疫蛍光染色データが付与されており、核および微小管との多重染色データを閲覧できます。細胞は、各抗体での染色に適した2種類の細胞株と、全タンパク質に共通したU2-OS細胞の計3種類を使用しています。下図は、HPAオンラインデータベースで確認できる主な細胞内局在パターンです(Green:HPAプロジェクト開発抗体、Red:微小管、Blue:核)。
■ CELL LINE ATLAS
各種細胞株におけるタンパク質とmRNAの発現解析結果が収集されています。検索・閲覧することができる細胞の種類は、ヒト由来の46種類の細胞株および10人の白血病患者に由来する血球細胞です。各細胞株をクリックすると、高解像度の染色画像が閲覧できます。
■ CANCER ATLAS
ヒトがん組織における各種タンパク質の発現データを検索・閲覧することができます。一般的な20種類のがんについて、216つの異なるがん患者由来サンプルを集録しており、すべての解析画像は、病理学の専門家によりアノテーション付けされています。
抗体性能:ウサギポリクローナル抗体(Triple A Polyclonals)
Atlas Antibodies社のウサギポリクローナル抗体は、The Human Protein Atlas プロジェクトにおいて独自に開発された高品質な抗体であり、「Triple A Polyclonals(Atlas Antibodies Advanced Polyclonals)」のブランド名称で世界的に展開されています。1年間に約2,000種類の新製品を開発し、カタログ掲載品目数は既に17,000を超えています。Triple A Polyclonalsは、抗原特異性、品質安定性、多用途性において優れた性能を備えています。
■ 抗原特異性/抗原アミノ酸のデザイン
Triple A Polyclonalsは、各種ヒトタンパク質中に存在する特異的なエピトープアミノ酸配列PrEST(Protein Epitope Signature Tag)を抗原として製造されています。PrESTは他のタンパク質との相同性が非常に小さい50~150アミノ酸領域であり、オフターゲットへの結合を最小限にします。
■ 品質安定性
抗体の精製には、組換えPrEST抗原をアフィニティーリガンドとして使用した独自の精製システムを導入しており、これはHPAプロジェクトと同一です。製造プロセスを標準化することでHPAプロジェクトとAtlas Antibodies社の抗体に関するデータには一貫性があります。また、新しく製造されたロットは一世代前のロットとの比較検証実験を行い、再現性を確認したうえで出荷しています。各実験プロセスも標準化されており、標準プロトコルが公開されています。
■ 多用途性
それぞれの抗体は、正常組織およびがん組織、合計708サンプルでのIHC染色がすでにHPAプロジェクトにおいて行われており、病理学の専門家による豊富な使用実績があります。IHCによる組織染色に加え、免疫細胞化学/免疫蛍光細胞染色/ウェスタンブロットによる検証も行われ、そのデータはすべてHPAオンラインデータベースで公開されています(http://www.proteinatlas.org)。
■ げっ歯類への適用拡大
マウス由来NIH3T3細胞およびラット由来NBT-II細胞でのバリデーションデータを追加中であり、げっ歯類サンプルへの適用拡大を行っています。そのデータはAtlas Antibodies社のオンラインカタログで確認できます(https://atlasantibodies.com)。
抗体性能:マウスモノクローナル抗体
Atlas Antibodies社ではマウスモノクローナル抗体の販売も開始しました。Atlas Antibodies社のモノクローナル抗体は、それぞれ特異的なターゲットタンパク質に対して最も信頼性が高くなるように設計、製造、評価を行っています。2014年3月現在のラインナップは137種であり、今後拡充していく予定です。Atlas Antibodies社のモノクローナル抗体製品には、以下のような特徴があります。
■ 抗原特異性/抗原アミノ酸のデザイン
モノクローナル抗体の抗原アミノ酸配列は、Triple A Polyclonalsと同様に各種ヒトタンパク質中に存在する特異的なエピトープアミノ酸配列PrEST(Protein Epitope Signature Tag)を抗原として作製しています。PrESTは他のタンパク質との相同性が非常に小さい50~150アミノ酸領域であり、オフターゲットへの結合を最小限にします。
■ クローンの選択
ハイブリドーマの選択および増殖を行う前に膨大な数のELISA陽性細胞上清について評価を行うことで、各種アプリケーションに最適なハイブリドーマを厳選しています。
■ エピトープマッピング
抗原アミノ酸配列を少しずつオーバーラップさせて合成したペプチド鎖をビーズに固定したアッセイ系を用いて、モノクローナル抗体のエピトープマッピングを行っています。
■ アイソタイピング
Atlas Antibodies社のモノクローナル抗体はすべてアイソタイプが判定されており、アイソタイプ特異的な二次抗体を用いるマルチプレックス実験に対応しています。
■ ハイブリドーマ培養系のスケールアップ
倫理的な問題から、Atlas Antibodies社ではマウスの腹水を使用せず、in vitroのハイブリドーマ培養系をスケールアップしてモノクローナル抗体を製造しています。
■ モノクローナル抗体の評価
モノクローナル抗体の評価は、臨床的に重要で関連性の高い組織を広範な文献調査により選出し、免疫組織化学(IHC)解析により行っています。オンラインカタログのIHCデータには、ポジティブシグナルが得られた染色画像と、ネガティブコントロールを掲載しています。ウェスタンブロッティング(WB)による評価データについても、文献調査によりWBに最適なヒト細胞ライセートまたは組織ライセート、場合によっては全長の組換えタンパク質を使用しています。
使用文献
CNS (Anti-DIAPH2, HPA005647):
Shinohara R et al. A role for mDia, a Rho-regulated actin nucleator, in tangential migration of interneuron precursors.
Nature Neuroscience 2012 Jan 15;15(3):373-80.
CNS (Anti-ATRX, HPA001906; Anti-DAXX, HPA008736):
Schwartzentruber J et al. Driver mutations in histone H3.3 and chromatin remodelling genes in paediatric glioblastoma.
Nature 2012 Jan 29;482(7384):226-31.
CNS (Anti-SERAC1, HPA025716):
Wortmann SB et al. Mutations in the phospholipid remodeling gene SERAC1 impair mitochondrial function and intracellular cholesterol trafficking and cause dystonia and deafness.
Nature Genetics 2012 Jun 10;44(7):797-802.
CNS (Anti-CDKL5, HPA002847):
Ricciardi S et al. CDKL5 ensures excitatory synapse stability by reinforcing NGL-1-PSD95 interaction in the postsynaptic compartment and is impaired in patient iPSC-derived neurons.
Nature Cell Biology 2012 Sep;14(9):911-23.
Striatum (Anti-FOXP2, HPA000382):
Enard W et al. A humanized version of Foxp2 affects cortico-basal ganglia circuits in mice.
Cell 2009 May 29;137(5):961-71.
Lung (Anti-DICER1, HPA000694):
Hill DA et al. DICER1 mutations in familial pleuropulmonary blastoma.
Science 2009 Aug 21;325(5943):965.
Lung (Anti-NPC2, HPA000835):
Taguchi A et al. Lung cancer signatures in plasma based on proteome profiling of mouse tumor models.
Cancer Cell 2011 Sep 13;20(3):289-99.
Breast (Anti-PSPH, HPA020376; Anti-PHGDH, HPA021241):
Possemato R et al. Functional genomics reveal that the serine synthesis pathway is essential in breast cancer.
Nature 2011 Aug 18;476(7360):346-50.
Stomach (Anti-ARID1A, HPA005456):
Wang K et al. Exome sequencing identifies frequent mutation of ARID1A in molecular subtypes of gastric cancer.
Nat Genetics 2011 Oct 30;43(12):1219-23.
Pancreas (Anti-ATRX, HPA001906; Anti-DAXX, HPA008736):
Heaphy CM et al. Altered telomeres in tumors with ATRX and
DAXX mutations.
Science 2011 Jul 22;333(6041):425.
Kidney (Anti-PLA2R1, HPA012657):
Debiec H et al. PLA2R autoantibodies and PLA2R glomerular deposits in membranous nephropathy.
N Engl J Med 2011 Feb 17;364(7):689-90.
Skeletal muscle (Anti-SMCHD1, HPA039441):
Lemmers RJ et al. Digenic inheritance of an SMCHD1 mutation and an FSHD-permissive D4Z4 allele causes facioscapulohumeral muscular dystrophy type 2.
Nature Genetics 2012 Dec;44(12):1370-4.
Angiogenesis (Anti-EFNB2, HPA008999):
Nakayama M et al. Spatial regulation of VEGF receptor endocytosis in angiogenesis.
Nature Cell Biology 2013 Mar;15(3):249-60.
Cancer (Anti-FAT1, HPA023882):
Morris LG et al. Recurrent somatic mutation of FAT1 in multiple human cancers leads to aberrant Wnt activation.
Nature Genetics 2013 Mar;45(3):253-61.
Blood (Anti-BRD4, HPA015055):
Zuber J et al. RNAi screen identifies Brd4 as a therapeutic target in acute myeloid leukaemia.
Nature 2011 Aug 3;478(7370):524-8.
Skin (Anti-SETDB1, HPA018142):
Ceol CJ et al. The histone methyltransferase SETDB1 is recurrently amplified in melanoma and accelerates its onset.
Nature 2011 Mar 24;471(7339):513-7.
※使用文献の一部を掲載
Webinar (Webセミナー動画)
https://atlasantibodies.com/biomarker14-webinar
製品検索:Atlas Antibodies社オンラインカタログ
価格表
製品名 | メーカー 製品番号 | 容量 | 価格 |
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ウサギポリクローナル抗体(Triple A Polyclonals) | HPAxxxxxx | 100 µl | 58,000 |
マウスモノクローナル抗体 | AMAbxxxxx | 100 µl | 58,000 |
■ 注目製品
パンフレット
Atlas Antibodies社抗体製品およびHPAプロジェクトに関する技術資料を配布中です。ご希望の方は弊社までお問合せください。また、本WEBページからPDFをダウンロードできます。
■ 製品カタログ
ATLAS ANTIBODIES IN NEUROSCIENCE |
ATLAS ANTIBODIES IN BREAST CANCER RESEARCH |
HIGHLY RELIABLE MONOCLONAL ANTIBODIES |
■ 技術資料
PODXL - an independent biomarker of poor prognosis in cancer | Exploring Proteins with Unknown Function using Triple A Polyclonals | Development and Validation of Triple A Polyclonals |
RBM3: A Prognostic and Treatment Predictive Biomarker | Tissue Expression Profiling using Triple A Polyclonals | Immunofluorescence Applications in Cell Lines using Triple A Polyclonals |
Immunohistochemistry Applications in Human Tissues using Triple A Polyclonals |
※記載の内容は、'14年4月現在の情報に基づいております。